本当の君を好きになる
──キーンコーンカーンコーン。
朝の会が始まる合図の音。
私は、その場に立ち尽くす。
湊くんも、私から離れる様子はない。
「……湊くん……ありがとう。」
私は、そう言うと湊くんの手を握り返した。
「その言葉だけで、私には十分すぎるよ……。」
そして握った手を離すと、その腕から逃れる。
そのまま、後ろを振り返ると湊くんは目に涙を浮かべていた。
「……泣かないで……。せっかくの綺麗な顔が台無しだよ……?」
私はそう言って、ハンカチを手渡す。
湊くんは、それを受け取るが、涙を拭おうとはしない。
「……ねえ、瀬戸さん。」
「……何?」
「これからも一緒にいても良い……?」
弱々しく呟く湊くん。
私は、出来るだけニコッと笑って答えた。
「もちろん。むしろ、こちらこそお願いします──。」