本当の君を好きになる
そう尋ねると、彼はプイッと顔をそむける。
「……ボーッとしてるだけ。」
「……ふーん。」
そんな直登の目の前を通り、自分の家の前まで移動する。
すると、直登がこちらをチラチラと見てくるのが分かった。
「……何?」
「いや、別に……。」
……何かすごく変。
そして、自分なりに必死に考える。
あの様子。言葉……。
あ。
「──もしかして、鍵忘れたの?」
私のその言葉に、直登はギクリと肩を震わせる。
何も言わないから図星なんだろう。
「……お母さんは?」
「……友達と旅行行ってる。」
「……お姉さんは?」
「……彼氏の家に泊まる。」
「お父さんは単身赴任だもんね?」
「……ああ。」
直登は、変わらず顔をそむけたまま。
私は、冷たい目で直登の方を見る。
でも、次の瞬間おかしくなって私は噴き出した。