こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
バタバタと慌ただしく教室を抜け出す。


いつも誘いを断る口実にしてごめんね、ジョン。と、いつか飼いたいと思っているレッサーパンダに謝る。


深瀬くんはとっくに姿を消していた。


全速力にほど近い速さで階段を降り廊下を駆けると、どこにいても目立つあの後ろ姿が目に入る。


背が高いって見つけやすくていいね。いや、深瀬くんが目立つのは髪型のせいか。


見失わないように彼を追いかけ、学校の門の前でようやく追いついた。


だるそうに歩いている割には速いじゃないの。


追いかけているわたしの息は絶え絶え。動悸がして苦しく胸を押さえる。


初めてのストーキングにわくわくする余裕もなくなっていた。


そんなわたしに気づく様子もなく、深瀬くんはどこかに向かい歩いていく。


家に帰るのかな?


いや、不良が学校から真っ直ぐ家に帰るなんて優等生すぎて想像つかない。それはそれで面白いけど。


深瀬くん、どこに行くんだろう。


なんだか進むに連れて、段々人気がなくなっているような……。

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