こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
「あんまふざけてるとマジで殺すぞ」

「ふ、ふかせ、く…」


こうなったのは調子に乗ったお前のせいだ。

軽い脅しが利かねぇなら、しっかりやるしかねぇだろ。


─ところがそいつは力なく俺の手に触れたあと、苦しそうにしながら、なぜか微笑み返してきた。


「──。」


…なんだこいつ…。


ありえねぇだろ。この状況で笑うだなんて。

ここはひたすら謝罪と助けを求めるとこだろ。


また予想だにしなかったこいつの反応に、今まで出会った人間と違うどす黒い恐ろしさを感じ、手を離すしかなかった。


「…やっぱおかしいこの女。狂ってやがる」

「…ま…まって…」


『変わってる』とかの次元じゃねぇ。完璧異常だ。


相手にしてはいけないと、背を向け立ち去ろうとした。


その時。


「うーわ、めっずらしー。深瀬、女といるぜ」

「マジかよ。信じらんねぇ」

「激レアじゃん?つーか深瀬に女なんていたのか?」

「こりゃいー時に来たな。前の借り、きっちり返せそうだ。って、なんでこいつこんなとこで座ってんだ?」

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