こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
真顔で言ってやがる。

だからって誰が鵜呑みにするか。


好きだとか本気なわけねぇし、ふざけてもねぇとなると…。


「…どっかからの差し金か」

「…はい?」

「女に引っかかる程馬鹿じゃねえ。諦めて帰れよ」


中学時代、女を使って俺を落とそうとしてきた連中がいた。

その時は軽く脅す程度で、女は逃げていった。


こいつも今のとこ耐えてるだけで、同じ類の輩かもしれねぇ。


「この馬鹿たれが」

「は?」


何も言わず図星なのかと思っていたら、俯き静かに一言告げられた。


次の瞬間。


「ひねくれすぎじゃ!わたしは純粋に深瀬くんが好きなの!好きだからダーリンて呼ぶの!ふざけてもいないし、誰かの差し金とかとんちんかんなこと言うの、やめてくださらないかしら!」


いきなり激怒。

それもとんちんかんだなんて、随分聞き慣れない言葉だ。


と、少しだけ呆気に取られたが、全てを真に受けられるわけがねぇ。


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