こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
よくも堂々と言い切ったなこいつ。軽く開き直りじゃねぇか。


「あ、失礼」

「つーかあんな目に遭っても付きまとうとか、やっぱ異常だな。同じ学校でもなきゃマジで殺してそうだ」

「え?だって深瀬くん、本当はいい人でしょ?」

「は?」


『いい人』?

なんだそいつは。


「昨日だってカツアゲされそうだった人を助けたし、今日はわたしを助けてくれたもの」


…こいつ、昨日も今日も俺が人助けでもしたと思ってんのか?


甚だ笑える奴だ。


「何言ってやがる。別に助けたわけじゃねぇ。勘違いすんな」

「勘違いじゃないよ。実際そうだったでしょ?照れなくてもいいじゃん。助けてくれてありがと…」


…はあ?


「救いようのねぇ馬鹿だな」

「…え、どうして?」

「俺は助けたくてやったんじゃねぇ。ただ殴りたかったんだよ。助ける為じゃなくケンカがしたかっただけだ」


照れてる?あほか。俺は自分を正当化できるケンカがしてぇんだよ。


学校にバレても問題になったりせず、あの人と会わずに済むなら、いくらでもケンカに参戦するわ。
< 223 / 524 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop