こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
「くぉら深瀬!!」

「──」


呼ばれた方に目をやると、心の中でため息が出た。


また赤緑黄色かよ。自分らの学校から近くもねぇくせによく来るな。


「一昨日はよくもやってくれたな」

「一昨日?毎度じゃねぇか」

「だあってろよ!このやろ!」


弱い犬ほどよく吠えると言うがその通りで、一番弱ぇ金沢が一番うるせぇんだよな。


「一昨日の怪我も治ってねぇくせして、よく来れたもんだな」

「あんなへなちょこパンチ、怪我なんてできねぇよ!」

「それで倒れたのはお前らだろうが」

「おい。その女、深瀬の女か?」


は?俺の女?


赤城の目線を辿ると、見つめる先には存在をすっかり忘れていた逢川が。


くそ、めんどくせぇな。


「菊池が言ってたのはマジだったのか」

「うお、深瀬が女といるなんて初めて見たわ」

「深瀬ってこんなんが好きなんか」

「見た感じ普通だな」

「俺、結構好きな方だ」

「誰も聞いてねぇよ」


三人は寄ってたかって逢川を見回す。


馬鹿かこいつら。

いや、言うまでもなく馬鹿だ。

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