こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
「ダーリンの方がわたしより指細くない?!ずるいっ!」

「──」

「解せぬな!ってわたしの指が太いだけか」

「──」

「聞いてる?!ダー…」


手を凝視したまま、俺は固まっていた。


他人とまともに手を繋いだことなんて今までなかったから。


不意打ちで未経験のことをされるのが、俺はこの上なく弱いらしい。


「ダーリンッ」

「──!!はっ、離せ!!」


逢川に顔をつつかれ、意識を取り戻す。


未だぼんやりする脳内の中、繋がっている手をほどこうと必死で振り回す。


「照れなくていいじゃん!恋人同士は手を繋がないと!」

「だっ!!誰が恋人同士だ!!ふざけんじゃねぇよ!!」

「あっ!」


こいつといると調子が狂う!危険だ!!


逢川から逃れようと勢いよく手を離し、バイクのある空き地に向かい走り出す。


「アバズレ女!失せろ!」

「待ってダーリン!」


はあ?!


追いかけてきてんじゃねぇよ!どっか行きやがれ!!

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