こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
ありえねぇだろ。

あんな目に遭っておきながら、『気持ちが変わらない』だ?


信じらんねぇよ。嘘か冗談にしか聞こえねぇ。


「深瀬。ちょっとは優しくしてやってもいいんじゃねぇのか?」

「…なんで赤城にんなこと言われなきゃなんねーんだよ」

「俺も赤城に同感だ。これからのおめーの人生の為にも、女の免疫つけとかなきゃやべーだろ。逢川、しっかりした女だと思うけどな」

「緑川まで何だってんだよ!」

「つーかもうやめろ、金沢」

「咲良~!深瀬なんかやめちまえよ~!」

「おい!」

「咲良~!!」



──逢川が本当に俺を好きならば。


本当に、どんなことがあっても変わらずにいるのならば。


例えば、今日よりもっと悲惨な目に遭ったとしても、揺らぐことなく俺の味方でいてくれるのなら、俺は…、……。


…この時、少しだけ逢川を信じてみてもいいかもしれないと思えた。


もしも逢川が違う類の人間だとしたら、俺の見る世界は色を為すかもしれない。


だとしたら。


もう逃げたり拒絶するだけじゃなく、ちゃんと逢川と向き合ってみてもいいかもしれない。


そう、少しだけ思えたんだ。

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