こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
「おい!何してんだよ!早くしろ…」

「おっせーよ!どんだけ待たせんだこのヤロー!」

「─え…」


聞き覚えのない声。


顔を上げると、明らかに不良感丸出しの男子五人組が。

わたし達の行く道を阻むように、横一列に並んでいる。


せっかくダーリンと仲むつまじく恋人気分で帰るところだったのに。信号機三人組と同じ制服ってことは、もう完璧に澤田って人からの刺客…。


和やかだった空気が一転、瞬時に張りつめた空間に。

ダーリンはさり気なくわたしを背中に隠した。


ちょっ、ダーリン、かっこよすぎじゃないですか!ときめくわ!


「今日も女と一緒か」

「なめくさってんな」

「その分鈍ってんじゃねーの?」

「五人もいなくて良かったかもな」

「今日が命日だな深瀬」


挑発的な表情と口調。甲高い笑い声。


言わずもがなケンカの前振り。


そうでした。わたし、浮かれてる場合じゃないんでした。


「あ゛あ゛?!てめぇら何の用だ!」

「何の用?その女貰いにきたんだよ、バーカ!」

< 304 / 524 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop