こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
一番右にいた、スキンヘッドで前歯のない男がわたしを指さす。

彼、とてもじゃないけど高校生には見えません。


…って、え?わ、わたし?なんで?

いくらなんでもあなたに貰われるのは怖すぎますので、丁重にお断りさせていただきま…


「こいつ貰ってどうすんだよ!何の役にも立ちゃしねぇぞ!」

「まあ!ダーリンたら失礼しちゃう!わたしだってねえ!」

「黙れヘボが!!」

「なっ…!」


ちょっとこのソフトモヒカン!ダーリンの前でヘボ呼ばわりするなんて!一生恨み続けるリストに入れてくれるわこの男っ!


「役に立つ立たないはどーでもいんだよ!澤田がこの女気に入っちまったんだ!早くよこせ!」

「…はあ?」


ダーリンが顔をひきつらせてる。


そりゃ誰だってそうなるわ。なにしろわたし、澤田って人に会ったことすらないもの。

それで気に入ったなんて、こやつとんでもない嘘つきだな!


「こいつが澤田の女にならねぇ限り、おめーは地獄行きだ」

「何ぬかしてんだヨワカスが。つーか澤田はどうしたんだ。下っ端ばっかよこさねぇで、俺に勝ちてぇんならてめぇが来いよ!」


た、確かに!ダーリンたらまともなこと言うじゃない!


「てめーなんか澤田がわざわざ足運ぶほどのタマじゃねぇよ」

「ぶははは!勘違いしてんじゃねぇ!調子乗んなクソが!」

「俺に勝てた試しがねぇくせによく言うわ。お前らカスの相手なんか、準備運動にもなんねぇんだよ」

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