こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
「わっ…!」


恋する乙女に酔いしれていたら、五人の中で一番いかつい風貌の男に腕を掴まれた。

そのまま問答無用で引きずられる。


バカ咲良っ!早くおまわりさん呼べば良かった!


「澤田はてめぇには勿体ねーくらいの男前だからな!感謝しろよ!」

「やっ…!離してっ!」


やだやだ!これじゃ完全にダーリンの足手まといじゃないの、わたしったら!


しかし抵抗しようにもこりゃ痛い!この男、手が大きすぎ力強すぎ!腕ちぎれるわ!痛い痛い痛い痛い…っ!!


「ぐっ…!!」

「え」


強い痛みから解放されたと同時に、わたしの前にいたはずの男がお腹を抑え膝をつく。


「俺に黙って連れ去ろうとするとは、いい根性してんな」

「ダーリン!」


ダーリンが重い足蹴りを食らわせたよう。


一撃で崩れ落ちさせるなんて、さすがだわ!!ケンカを見ているのは怖いけど、五人相手に全く怯まず、それどころか優勢状態のダーリンは、どうしたってかっこいい。


「どこ見てんだよボケ!!」

「──っ!」


アフロ頭の男から、今度はダーリンが背中を勢いよく蹴られる。


結構強く当たったように見えたけど、少しよろけたくらいで立ち止まった。もう、すごいとしか言いようがない。

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