こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
向かい合っている上に目を合わせたら、普段の自分を保っていられなさそうだもの。


「俺は清水達と男子会してたんだよ」

「ぷっ。男子会?学校で?」


てことは、ここに来たのは偶然ってことだよね?生徒指導室なんて、校内でもへんぴな所にあるんだけど…。


って、何を考えることがあるんだ咲良。余計な解釈はしなくていいでしょうが。


「清水が元カノのこと忘れられねぇっつーから、皆で慰めてたんだよ」

「うわー。清水、引きずりそうなタイプだもんね」

「…俺も似たようなもんだけどな」

「…。」


やだ。

返答に困るようなこと言わないでよ。


ほら。

空気がおかしくなっていく。教室内の雰囲気が、居心地の悪いものになっていく。


「…お前、深瀬と付き合ってんのか?」

「え?!」


わ、顔上げちゃったよ!

わたしったら本当に馬鹿っ!


「…」


森野の視線が突き刺さり、全身に痛みを生じる。


何とも言えないその表情。だから見たくなかったのに…。

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