こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
「おっまえ、今日はかなりやるじゃねーか!」

「うおっ!だっ、やめろ!」


なぜか緑川くんが突然、深瀬くんの首に腕を回す。ご機嫌なのか何なのか、ものすごく笑っている。


「いやー、俺は嬉しい!鬼畜野郎にも人並みの感情と思いやりがあったってことに素直に喜ぶわ!」

「てめっ、何言ってやがる!意味わかんねぇんだよ!離せくそが!」


仲良しだなぁ。と、二人のやり取りを若干遠目に見ていると、わたしの横にいた赤城くんが呟いた。


「深瀬にしては考えたじゃねーか」

「え?赤城くん、どういうこと?」

「あーっ!兄貴が来るってことは車か!咲良、車で送ってもらえるぞ!良かったな!」

「えっ!わたし車で送ってもらえるの?!」


それは嬉しい!なんだかよくわからないけどこの恰好、あまり見られずに済むなら助かる!


ていうか深瀬くん、お兄さんがいたんだ。意外…。


「そういうことだな。庄司兄貴は深瀬の世話係みてーなもんだから安心しろ」

「ん?世話係って、深瀬くんのお兄さんではないの?」

「ぶっ!ちげーよ!大体、庄司は名字だしな。世話係っつーか、使用人っつーか」

「使用人?!」


使用人って、お金持ちのイメージしかわかないんだけど!ももももしかして、深瀬くんってそうなの?!


「おっと、俺らからはこれ以上は言えねーから、あとは深瀬か本人から聞くんだな」
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