こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
「え?え?なんで言えないの?」

「あそこのガキ大将がキレっからな」


そう言って赤城くんは顎で深瀬くんを差した。


ガキ大将って…。どうして深瀬くんがキレるんだろう。

聞かれたくない内容ってこと?めちゃくちゃ気になるのになぁ。


「でもいいのかな?送ってもらうなんて」

「あ゛?俺には送ってくれねぇだの言ってたくせに、庄司には随分態度が違うじゃねぇか!」

「「ぶっ!」」

「それとこれは話が別でしょ!」

「やっべー!深瀬おもしろすぎる!」

「あ゛あ゛?!」


──と、こんな感じで騒がしく待っていると、わたし達の前に一台の車が近づいてくる。


それはわたしのような小娘が見てもわかるくらい、高級感で覆い尽くされた車だった。


「あれ?兄貴の車、前と違くね?」

「ベントレーじゃねーか!車変えたんか?!」

「知らねーよ。なんだ庄司の奴…」

「え?!嘘!あの車?!」


たっ、高そうな車!やっぱり深瀬くんって、お金持ちなの?!


「運転してんのが庄司兄貴だからあの車だな」

「ぎょ!!」


その高級車は颯爽と停まり、すぐさま運転席から庄司さんと思われる男性が姿を現す。


「圭悟様、お待たせ致しました」


スーツをこれでもかっ!というくらい完璧に着こなし、できる男を全身で表現していると思える程の素敵な容貌。


深瀬くんに向かって一礼する庄司さんに、わたしはとんでもない衝撃を受けた。


この人、なんて大人!なんてかっこいいの!
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