こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
逢川咲良の哀情恋愛

人質なわたし

それから深瀬くんは前より気持ち優しくなった気がする。


ストーカーしても文句を言いながら拒絶はしない。相変わらず言葉はひどいけど、それも段々と慣れてきたというか、免疫がついてきたというか。


他の女子が言われて半泣き状態になった言葉でさえも、わたしは華麗にスルー。

深瀬くんに近づこうとする女子をスルーは上手にできないけどね。


声をかけたところで深瀬くんは完全拒絶で、女子は大抵そこで撤退するから、そこまで心配はしないようにしてる。


ていうかわたしより森野の方が深瀬くんと仲良くなってる気がする!


深瀬くんと森野は日に日に仲良くなっていっているようで、なぜかわたしを含め三人で屋上でご飯を食べることもあったり。


世の中何が起こるかわかんないね。信じられないけど、深瀬くんの笑顔を見られる機会が増えて嬉しく感じてる。


不器用な優しさだったり照れ屋だったり、色々な深瀬くんを知る度に、彼のことを好きになっていっている気がした。


でも深瀬くんが何に傷ついているのかはわからないままだった。


深瀬くんは毎日ちゃんと送り迎えしてくれる。さすがに天気が悪い日はないけれど。


だからわたしは不良に絡まれることなんてなかった。


そのせいか北栄からの刺客はないに等しい。

信号機三人組がからかいにくることもあるけど、ケンカを仕掛けにくる人はいない。


前の一件が原因なのかな?このまま平和な日が続けばいいな。


なんて、そう思っていた矢先──。

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