こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
この学校には似合わない、見るからにガラの悪い奴ばかり。


色とりどりの頭髪、顔中ピアスだらけ。視点が合っていない人、顔が土気色の人。

煙草を片手に怒鳴り、ドスを利かせて喚き、校内の壁を蹴ったり物を破壊したり、とにかく騒がしい。

 
常軌を逸した空気に、それを見た生徒達は怯えて逃げ出していく。昼休みで気づいていないのか、先生の姿はない。


その様子に以前の記憶が蘇り足が竦む。身動きなんてとれたもんじゃない。

恐怖という感情が全身を包み、逃げ出すこともできない。


何をしに来たの?深瀬くんを探してるみたいだし、『逢川』ってわたしのことだよね?


この間あれほど深瀬くん達にやられたって言うのに、今更なに?


どうしてわたしを探して…


「さ、咲良」

「茉希…」


恐怖のあまりか、茉希は自分の左手とわたしの右手を繋いだ。

その手は微かに震えている。


「逃げよう」

「…茉希は逃げて」

「え、咲良は?」

「あいつらわたしを探してるっぽいから、ちょっと行ってくるわ」

「え?!何言ってんの!危険だよ!一緒に逃げよう!」

「わたしは大丈夫だから」

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