こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
ああもう、無性にだるい。澤田に反応するのも面倒くさい。

起き上がる気力も出なかったけど、さすがに横たわったままじゃいけないと、なんとか座り込む。


ていうか、ここどこ?


視界がはっきりとし辺りに目を向けると、不良ものにありがちな倉庫らしき広い空間。


誰にも邪魔をされずやりたい放題できるであろうその場所には、かなりの数の北栄の生徒が。

この前と比にならないくらいの数。


そろそろ深瀬くんが来るだなんて言ってたけど、この中に来るなんて飛んで火に入る夏の虫どころの話じゃない。


わたしが人質になったところで深瀬くんが来てくれるかは謎だけど、来ないでほしいと切に願う。


前に助けに来てくれたから、来てくれるかもと思ってしまう部分もある。でもそれはだめ。絶対絶対来ないでほしい。


自ら危険な道を選ばないで。

北栄の奴らなんて相手にしないで。


たくさんの人に迷惑をかけてきたわたしは、どうなったって構わないんだから。


縛られている両手首と両足首を見つめて、このままわたしを海にでも投げてくれたらと思った。

前よりひどいことをされるのは目に見えてるもの。


「あの日からここまで治すまで、結構しんどかったからね。深瀬にはそれ以上の思いをしてもらわないと」

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