こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
「わたしに感謝?」

「お前が無理にでもああして場を作らなかったら、俺は一生あいつから逃げてたはずだ。一生向き合うことなんてなかった」


不思議そうな顔をする逢川。


今日はちゃんとしねぇと。

元からそのつもりだったのに調子狂わせんじゃねぇよ。ったく。


「世話になったな。俺とあいつの問題なのに、巻き込んじまって悪かった」

「そんな…」

「お前、変な奴だよな」

「え?なに突然。せめて特殊と言ってちょうだい」

「否定はしねぇのかよ。ほんと変わってるな」

「それなりに自覚はありますのでね」


自覚はあったのか。やっぱこいつは普通じゃねえ。


「普通、首突っ込まねぇよ。こんなめんどくせーこと。大体、これだけひでぇ目に遭ってもなんで俺の周りうろついてんだか意味不明」

「だから何度も言ってるでしょ!ダーリンが好きだからだってば!」

「それがわけわかんねぇ。だとしてもここまでするかよ、他人の為に」

「他人以上の関係になりたいからだよ!その為ならなんだってできちゃうよ!」

「なんだって?なら俺が犯罪者だったらどうすんだよ」


って、こんなこと聞いて何がしてぇんだよ、俺は。


「んー、他の人ならお断りだけど、ダーリンならなんでもいいよ」

「信じらんねぇ。どうしたって離れねぇ気かよ」

「もちろん!わたしから逃げられると思わないでね!」


自信満々の顔。

その顔とセリフに、呆れながらも笑ってしまう。
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