完璧な彼は、溺愛ダーリン
「俺さ、よく驚かれるんだけど付き合ったのとか片手で数えられるぐらいなんだよね」
「え!?」
「はは、信じられないって顔してる。俺、中々好きになれないからさ」
「そうなんですか」
「うん。だから、こんなにも誰かを好きになったのが久しぶりなんだよね」
熱を持った瞳で見つめられて、私の胸が騒がしくなった。
何も言えなくて口を噤む。
キュンってレベルじゃないぐらいにときめいているよ。
もうさっきからドキドキが止まらなくて、どうしようもない。
「どうしたらいいかわからなくて、暫くは話しかける事すら出来なかったからね。情けないわ、俺」
「そ、そんな事ないです」
「言ったじゃん。映画下見に行ったって。それぐらいには緊張していたから」
「見えなかったですよ、誘い慣れているんだろうって思ってました」
「嘘。慣れてないよ。テンパってたからチケット渡していなくなっただけだし。
だから、連絡先も待ち合わせ場所も言ってなかったでしょ?」
「確かに」
「あの後、帰ってから俺相当落ち込んでたから」
「えっ」
落ち込んでたの? うまく誘えなかったからって?
それは想像したら面白過ぎるんだけど。
肩を揺らして笑いを噛み殺していると、葛木さんが「こら」と言って頬をぷにっとつまんできた。