完璧な彼は、溺愛ダーリン
「俺、迷惑そうに見える?」
「……」
私はちらりと彼の顔を見る。
そう言った葛木さんはこっちが恥ずかしくなるぐらいに素敵な笑顔を浮かべていて、私はゆっくりと首を振った。
そんな、何も言っていないのに私が好きって顔をしないで欲しい。
「でしょ? だから気にしないの」
「……わかりました」
「素直でよろしい」
そう言って、私の頭をいいこいいこと撫でる葛木さん。
少しだけ子供扱いされている気がする。
だけど、それが嫌じゃないから葛木さんはズルいと思う。
それにそんなニコニコしながら撫でられたら、胸のドキドキも増していくじゃん。
その時、私の最寄りに到着するアナウンスが車内に響いた。
「あ。もう着くのか。本当にあっという間」
眉を下げた葛木さんがぽつりと呟く。
前は早く着けって思っていたけど。
今日は私ももう着いちゃうんだって思ったよ。