完璧な彼は、溺愛ダーリン
「!?」
驚き過ぎて咄嗟に声が出なかった。
私は目を見開き葛木さんの顔を見上げる。
彼は何やら口パクすると、通話相手と話していた。
どうやら、「待って」と言ったらしい。
どうしたらいいのだろう。
こんなの、誰かに見られたら。
変に噂されるのも嫌なんだけど。
特に栞には知られたくない。
「そうですね、それではまた何かあればすぐに連絡ください。
はは、当たり前じゃないですか。はい、それでは失礼します」
通話を終わらせた葛木さんはスマホをジャケットの内ポケットにしまうと、私の方を見てニコッと笑った。
その笑顔に私も引き攣った笑いを向ける。
「急にごめんね。ねえ、今度の土曜日って空いてないかな」
「え?土曜日ですか」
「そう。映画のチケット貰ったんだ。行かない?」
「えっ」
「あ、これデートのお誘いね」
「はっ!?で、デート?」
相変わらず腕を掴んでいるし。勝手に話し進めているし。
何故か、デートに誘われているし。