完璧な彼は、溺愛ダーリン
「ハイ、これチケット。帰りに渡したかったんだけど、三石さんいないし。
あ、嫌なら来なくてもいいよ。俺は待ってるけど」
「ちょ、ちょっと」
「用件はそれだけ。急に腕掴んでごめんね。
それじゃ、また」
そう言ってチケットを押しつける様に渡すと、私の言葉を無視して颯爽と去って行った。
言い返す事すら出来なかった。
そんな隙与えてくれなかった。
てか、葛木さんデートって言っていたよね?
私をデートに誘っているって事だよね?
自分がたった今言われた事なのに、まだ実感がない。
放心しながら私は手の中にあるチケットに視線を落とした。
それは最近話題の映画だった。
見たいと確かに思っていたけど。
でも、まさか葛木さんに誘われるとは思わなかった。