完璧な彼は、溺愛ダーリン
「凄く、面白かったです」
「本当? 俺も好きで何度も観てる映画」
「あまりアクションって観ないんですけど、いいですね。スカッとします」
「そうなんだ。普段観るのは恋愛モノ?」
「そうですね。泣ける系のが多いかもしれないです」
「わ、俺そういうの苦手。絶対泣くから」
な、泣くの? 葛木さんが?
それは少し拝見してみたい、なんて。
「俺、涙もろいよ。感動する映画とかすぐに泣いちゃうからあまり観ない様にしてる」
「ええ、そうなんですか」
それは意外だ。
「ボロボロ泣いちゃうんだよね。カッコ悪いよなあ」
「そんな事ないです。私も泣いちゃうんで、一緒ですよ」
「君の前だったら観てもいいのかもな」
「はい。思いっ切り泣いてくださいね」
「はは、それはどうかな。三石さんが泣いていたら気が気じゃないから、泣けないかも」
肩を揺らして笑う葛木さんは、一瞬の隙をついてちゅっと髪の毛にキスをする。
バッとその個所を抑えると葛木さんは優しく口角を上げて微笑んだ。