完璧な彼は、溺愛ダーリン
こんなに素直に喜んでくれると思っていなくて、目頭が熱くなる。
「栞、ありがとう」
「よかったねえ、よかった」
よく見たら栞の目にも薄らと涙が浮かんでいて、それが更に私の涙を誘った。
「うぅ、しお、り……、ありがとう」
「睦実、やだ。何泣いてんの」
「それは栞も」
「私のは涙じゃないし。コンタクトがズレただけだから」
「栞、視力いいの知ってるよ」
「もう、変な事覚えているんだから!」
栞の優しさを身に沁みて感じた。
加藤君と幸せになってくれるといいな。
それから、ひとしきり泣いた私と栞は準備をして、順調に仕事をこなした。
今日の遅番に加藤君が来るからつついてやらないと。
栞は今日は早番であがり。
遅番で十八時入りの加藤君と顔を合わせる事はない。