完璧な彼は、溺愛ダーリン
「お疲れ様ー! 私、明日休みだから明後日かな」
「お疲れ様。そうだね。私中番だったかな」
「おっけー。それじゃあ」
栞がひらひらと手を振ると、階段へと向かった。
それから暫くして、加藤君が出勤して来る。私を見ると「おはよう」と言って軽く頭を下げた。
「加藤君!」
「うん? 何。どうしたの」
私は加藤君に詰め寄り、問い質した。
「告白したの!?」
「……情報漏洩早過ぎな」
「したんだよね!? それに、今日栞、もらったヘアピン着けてたよ!」
「え、着けてたってまじ?」
「うんうん」
首がもげるんじゃないかって程に何度も縦に振る。
すると、加藤君は「まじか」と独白するように呟いた後に
「ダメ元だったのに、やっべー嬉しい」
と、満面の笑みを見せたからこっちが驚いた。
いつもニヤリとか、ふっ。とか、スカした笑いばかりなのに。
こんなにも無邪気な笑顔、初めて見る。
本当に、栞の事が好きなんだ。心がほんわりと温かくなった。