完璧な彼は、溺愛ダーリン

「まだ返事は保留だから、わかんねーよな」

「保留なんだ」


それならきっと、大丈夫だと私は思った。
栞が前向きに考えると言っていたし、何より本当に栞にその気がなければハッキリと断ると思う。

時間の問題かもしれない。


「何、笑ってんだよ」

「いや。二人がうまくいったらいいなーと思って」

「……それで? 三石は葛木さんとうまくいったの?」

「あ、うん。付き合う事になった」

「はあ~まじか。やっとか。よかったわ。これで栞が俺を好きになるかもしれない確率が上がった」

「本当に加藤君は栞基準だよね」

「当たり前だろ」



隠すことなくそう言いのける加藤君。栞は相当溺愛されていると思うんだよね。
だから、加藤君と付き合う事になったら絶対に大切にされる筈。


私がそうなように。



「あ。噂をすれば」


前を向いていた加藤君が、視線はそのままで口を開く。
倣う様に私も前に視線を移すと、そこには葛木さんがスーツ姿で立っていた。


えっ、今日来るの早くない?
って、まだ時間前だよ!?
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