完璧な彼は、溺愛ダーリン
それには同意するよ、加藤君。
葛木さんは爽やかな笑顔を崩さないまま、踵を返す。
「それで結構。それじゃ、今日は顔出しただけだから。まだ仕事が残っているし、ジムに寄れないと思うけど連絡する」
「はい」
私が答えると、葛木さんは階段へと向かった。
いなくなった後、加藤君が肩を竦めながら苦笑する。
「仕事中に寄ったとか……溺愛され過ぎ。多分、男全員にあの態度だよ。あれ」
「……あはは」
「スパダリの唯一の欠点だな。彼女が大好きっての。三石に何かあったら性格変わりそうだし。
ま、浮気しなさそうだし、いいんじゃね」
「安心させるようにします。はは」
惜しみなく注がれる愛情に、私が感じていた不安は消えていた。
「ナイトからフルタイムに勧めてやれば」
「それ、本当にすると思うんだけど」
「だろうな」
料金が上がるぐらい気にしなさそうだし。
若干、愛され過ぎているとは思うけど。
それでも私は幸せを感じていた。