完璧な彼は、溺愛ダーリン

「手を出さずにいたらタイミング逃してた。だから、決めてた。一年記念日にって。
……睦実は不安に思わなかった?」

「思うわけないじゃないですか、こんなにも愛されているのに」


この一年。
彼は私の事をたくさん愛してくれた。


確かに体の関係はなかった。
それでも、不安に感じる事はなかった。


葛木さんは私だけを見てくれていたし、行動でも言葉でも伝わっていた。


「俺が好きだってのは当たり前だけどさ。自分に魅力がないとか……、落ち込まなかったかなって。
睦実は自分をマイナス評価している節があるから」

「……それは」


ないと言えば嘘になる。
付き合って半年ぐらい経った時が一番モヤモヤしていたと思う。


その頃、加藤君の念願が叶って栞と付き合いだした。
栞は昔以上にメキメキと可愛くなっていて、その理由が加藤君との交際だってのは目に見えてわかった。


一度思い切って、栞に聞いた事がある。
そういう事はしたのかと。


栞は照れながらも答えてくれた。
そして、落ち込んだ私が栞に半年キス以上の事がないとカミングアウトすると最初こそ驚いた栞だったけど、すぐに何か納得したようだった。


《睦実に問題があるんじゃなくて、彼自身に問題があるのかもしれないよ。
待ってあげるのも彼女の役目だと思うな。
それに、スパダリが睦実を溺愛しているのは誰もがわかっているから。
魅力がないとかは絶対にない。断言する》


そう言ってくれて、私は彼を信じて待とうって思えたんだ。

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