完璧な彼は、溺愛ダーリン


「今のって」


加藤君が訝しげな顔で私を見つめる。
そうだ。私は今日彼に誘われている。


行くか行かないかは別として、栞の意中の人に誘われているんだ。


「葛木さんとは何もない」


先回りしてそう断ると、加藤君は眉間に皺を寄せたまま尋ねた。


「栞はこの事知ってるの?」

「知らない。加藤君、絶対に言わないで」

「いいけど……、いつかはバレると思うよ。
……あの人、隠すつもりなさそうだったし」

「……だよねえ」


二人して彼が去った方向へ目を向けた。


そこなんだよね。急過ぎるし、葛木さん思っている以上に積極的だし。
やっぱり次に会った時に栞に言おう。

だけど、私はその気はないって。
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