完璧な彼は、溺愛ダーリン
「現時点では、って事は加藤君の片想いって事かな。
それじゃあ、俺にもチャンスあるよね」
余裕な表情でそう言う葛木さん。
加藤君の言葉を勝手に自己解釈しているようだ。
「何で三石なんですか?葛木さんなら他にもっといい人いそうじゃないですか」
それは私も思っていた。
葛木さんならもっといい人がいる。
きっと、私よりもスタイルも顔もよくて、素敵な人が言い寄ってきてもなんらおかしくない。
何で私なんだ。
今まで付き合った人がいたとしても、人並みだと思う。
完璧で王子様みたいな葛木さんを好きになって、夢見るような自分じゃない。
言い方は悪いけど自分に見合った恋愛をして来た、そう思っている。
そして、それはこれからも。
葛木さんはやっぱり余裕たっぷりの表情で、ゆっくりと口角を上げた。
「他に? 俺にとったら彼女が一番なのに?
好きな女性が一番じゃない男っているの?」
「……!」
それに、加藤君が目を見開き口を噤んだ。
葛木さんから視線を逸らして、俯く。
葛木さんは当たり前の事、言っているだけなのに。
そんなの当然。好きな人が一番で、他と比べる方が間違っている。
でもさ、葛木さんならって思っちゃうじゃん。
早鐘の様にうるさく鳴る自分の心臓。