完璧な彼は、溺愛ダーリン
「諦めるつもりなんてこれっぽっちもないよ。
今、振られたってこれから好きになって貰えばいいんだから」
「悪いけど、彼女はやれません」
「……何?」
加藤君の言葉に、ピクリと葛木さんの眉が上がる。
一気に強張った空気にそわそわしながら、私は加藤君を見た。
「俺、彼女の事好きなので。
渡すつもりはありません」
加藤君は葛木さんにハッキリとそう言った。
これに驚いたのは私だ。
葛木さんはさっきの発言もあるからか、それほど驚いていない。
加藤君は栞の事が好きなんだと思っていた。
今日だって、栞へのプレゼントか何かなんだとばかり。
眉を顰め俯く私。
黙っていると、葛木さんが口を開く。
「残念。俺もそう簡単に渡すつもりはないよ。
三石さん以外、考えられないから」
「俺もです」
「あ、あの!」
私はバチバチとしている二人の間に割って入ると、葛木さんの事を真っ直ぐに見つめた。