完璧な彼は、溺愛ダーリン

それを聞いて、少し自分を恥じた。
彼だって、一人の人間で好きな人の事で悩むんだ。

誰でも選び放題だから、私じゃなくてもいいじゃん。なんて失礼な話だ。


「……葛木さんが思っていたよりマトモでよかったです」


加藤君が大きな溜め息をつくと、ホッとした様子でそう言った。


「マトモって、俺どんな風に思われていたの」


それには流石の葛木さんも苦笑している。


「女とっかえひっかえして、遊んでいるのかと」

「そんなこと、今まで一度もした事ないんだけど」

「それなら安心しました。あ、さっきの嘘ですから」

「は？」
「え？」


ハモった私と葛木さんの声。
嘘？どういう事？


射抜くように加藤君を見る私。
葛木さんも同様に加藤君を見ていた。


「俺が三石の事好きっていうのがです。
すみません、ちょっと同僚として変な男に引っ掛かるのが嫌だったんで、つい」

「……えっと、それって」

「あ、俺他に好きな人いるんです」


悪びれる様子もなくそう言った加藤君。
私はぽかんとしたまま、加藤君を見る。