完璧な彼は、溺愛ダーリン
「……電車止まっちゃえばいいのにな」
そう、小さな声で呟いた葛木さん。
きっと私にしか聞こえていない。
すぐに顔を上げ、彼の顔を見るが―――。
その顔は、眉を下げ情けなく微笑んでいて。
胸がぎゅうっと締め付けられた。
苦しい。そんな顔、しないで欲しい。
早く着けばいいって思っていたのに。
早く、早くって。
だって、このまま一緒にいたら彼を好きになる。
――――好きになってしまう。