完璧な彼は、溺愛ダーリン
「三石が働いて結構経っているのに、ずっと好きだったわけでしょ。
凄くね? 名前しか知らないし、ここで顔を合わせるだけだよ」
「うん」
「だから、栞に遠慮しなくてもいいんじゃねーの」
「……」
加藤君、どこまでわかっているんだろう。
それともそんなに私がわかりやすいのかな。
だけど、私は栞を応援するって決めた。
「あはは。加藤君、何の事かわかんない。私、栞に男の人紹介して貰ったんだよ」
「……へえ、栞に」
「うん。凄く良い人だからさ。私も結構気に入ってるし」
「そっか。それなら俺が口を挟む必要はねーな。頑張れよ」
「うん。頑張る。ありがとう」
気に入っているのは嘘じゃない。
良い人なのも嘘じゃない。
加藤君の言葉の所為で、胸がどこかざわざわとするけど無視しておいた。
それから、ナイト会員の始まる時間が来て私と加藤君はバタバタと慌ただしくお客さんを案内して行った。
ふうっと私と加藤君が一息ついたぐらいにやって来たのは、彼だった。
エレベーターが開いた瞬間に、心臓が大きく飛び跳ねる。
ばっちりと目が合ってしまい、私は思いっ切り逸らして俯く。