完璧な彼は、溺愛ダーリン
「こんばんは」
「こんばんは、葛木さん」
受付まで来た葛木さんはそう声をかけてくるが、何も言えない私に代わって加藤君が答えてくれた。
「加藤君、こないだはどうも」
「いえいえ、急にすみませんでした」
「いや、職場仲間同士、仲良しなんだなって妬けたぐらいだから」
「ははっ、俺に? 勿体ないですよ、妬くだけ」
「そう? 実は今もちょっと妬いている」
「え」
私は驚いて顔を上げると葛木さんは優しく微笑んだ。
あんな逃げるような別れ方したのに、彼に私を責める様子はない。
「三石さん、俺の方見てくんないし。思いっ切り目を逸らすし。
少し加藤君の後ろに隠れてるし」
「……そ、そんな事ないです」
拗ねた口調で言った葛木さんに私が首を振って否定すると、加藤君が目を真ん丸にしてから吹き出した。