完璧な彼は、溺愛ダーリン
もちろん誰かに好意を持たれている事はとっても嬉しい。
栞の意中の相手でなければ。
「だから~、三石は難しく考え過ぎ。栞の好きな相手だろうと、好かれてるなら喜んでおけばいいじゃん」
「そう考えられたらいいんだけどね」
「ダメだこりゃ。そんなら早くその男とくっついたらいいんじゃね。したら平気だよ」
「他人事だと思って」
「まあね」
イタズラっぽい笑みを浮かべると、加藤君は「休憩貰います~」と言って裏へと入って行った。
その背中を恨めしく見つめてから、私ははあっと溜め息を吐く。
嬉しくないわけがない。
職場の女子、皆がスパダリと言って憧れる様な相手だ。
王子様みたいで、理想的な人。
昨日は連絡先を聞いた事にショックを受けていたけど、葛木さんの気持ちは何も変わっていなかった。
ただ勝手に断ると思っていたからショックだっただけで。
私は困っているの? それとも、喜んでいるの?
“やっぱり私の事が好きだった”って?
はあ、嫌な考え。
ぶんぶんっと私はその考えを忘れようと、思いっ切り首を振った。
それから、加藤君が戻り代わりに休憩に入った私はお茶のペットボトル片手にケイタイを確認する。