完璧な彼は、溺愛ダーリン
「はい、そうですよ」
『よかった。番号交換したはいいけど、一度も電話した事なかったよね。
それでえっと、着いたんだけど……睦実ちゃんいる?』
「え?私ももういるよ」
驚いて私はキョロキョロと辺りを見渡す。
もう望くん着いているの?
どれだろう、わからない。
顔も特徴も聞いていないのだから、当たり前だけど。
『あ、いた』
「え」
『目の前』
「目の前……」
私は正面を向く。少し先にスーツ姿の男性が立っていて、こちらを見てにっこりとしていた。
短髪の黒髪。少し太めの整えられた眉毛。
二重で、少し垂れ目。笑っている顔に出来た笑窪。
ネイビーのピンストライプのシングルスーツ。
こげ茶色した革のバッグを片手に持っている。
その姿はイメージと随分違っていた。
通話を終わらせ、ケイタイを胸ポケットにしまうと私の元へと彼は走り寄ってきた。