完璧な彼は、溺愛ダーリン
「どうした?」
白ワインのボトルを持って、優しく尋ねた。
ハッとしながら私は慌ててグラスを手に持つ。
「ううん。何でもない」
「そう? そんな風に見えなかったけど」
望くんが返事をしながらゆっくりと瓶を傾けて、私のグラスにワインを注ぐ。
それから自分のグラスにも注ぐくと、静かに口を開いた。
「好きな人とかいた?」
「え」
体が強張った。変に心臓が鳴る。
ふっと笑いながらグラスから私に視線を移した望くんは続けた。
視線を逸らせずに、私は彼をじっと見つめる。
「ごめん。困らせたかったわけじゃないんだ。あまり重く考えないで」
「うん……」
「この話は終わり。さ、食べよう。その前に、はい」
明るく言った彼はグラスを手に持つと、私に近付けた。
私も微笑みグラスを近付ける。
「乾杯」
「乾杯」
チンと小さく音を立ててから、私は一口ワインを含む。
飲みやすくてとても美味しい。
ワインを味わっていると、料理に目を向ける。
生ハムやアンチョビの盛り合わせ。お酒を飲むにはちょうどいい。
それを先に望くんが頬張った。