結婚したくてなにが悪い?!

「あー早く終わんないかな…?」

夕方中庭で息抜きをしていると、大田さんがやって来た。

「随分疲れてるみたいだな?」

「ほら?」と差し出された缶コーヒーを受け取り、「有難う」とお礼言う。

「ホントなれない仕事は疲れるよ!」
何年やっても、講師より通常業務の方が気が楽だ。

「まぁそうだろな? 想像以上に俺も疲れた!」と、うんざりそうな顔をする大田さんに同情したくなる。講義時間外もまとわりつく女の子達に、手を焼いていたのを見ていた。

「へぇー、若い女の子達にチヤホヤされて、喜んでると思ってた?」
「目の前にピチピチのギャルが居るのに、手を出せないんだぞ? 喜べるわけ無いだろ? あーあーこれが仕事じゃなかったらなぁー…4、5人まとめて面倒見るんだけどなぁー。」
「このドスケベ!!」
「それ褒め言葉として受け取っておくよ?」と笑い、「頑張ってる褒美貰うぞ?」と言って私の唇を奪った。

っ!?

大田さんの胸を叩き、突き放した私を笑い、「少し元気出てきたわ!」と笑いながら離れていった。

なんなのあの男!?
私をからかって楽しんでるの?
熱をもってしまった両頬を 叩き、気持ちを落ち着ける。

あの男、頭おかしいじゃないの!?
以前から私をからかって喜んでる節があった。
でも、ここに来てそれが過度すぎる。

初日は部屋まで押し掛け、何を話すでもなく、ただ数時間居座り、そのまま帰っていった。その他にも、すれ違い様に手を握ってきたり、階段の影になるところでは、抱き締められ返して貰うと言ってキスをされた。

あれ? 返して貰うって?
あっ! あれ、口紅の事か?
だからってふざけ過ぎ!
誰かに見られたら、どうするのよ!?

あの男は私をどうしたいの??
ホント良くわからん男!




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