結婚したくてなにが悪い?!
夕方まで由美と時間を潰し、久し振りに気心知れた仲間達といつもの居酒屋で女子会を行う。
メンバーはいつもとおなじで、同じホテルに勤めるこの由美と、外資系商社に勤める梨華、それと、梨華の後輩で佐々木優華。
それからショップ店員で、高校からの付き合いの五木。
それとCM制作会社に勤める宣美(ヒロミ)である。五木と梨華、そして宣美とは大学が同じだった。
先ずは、「「お疲れー!」」とグラスを交わし、近況報告をする。
「五木、あんたずっとこっちに居なかったんだって?由美から聞いたけど?」
先ずは、私が五木からの近況報告を聞く。
すると私の言葉に「え?居なかった?」「何処にいたの?」と、梨華と宣美が反応する。どうやら、二人も知らなかった様だ。
「あっうん! 仕事で鹿児島行ってた!」
「鹿児島?」
「そっ新店舗の準備!」
「私と五木の仲なのに、由美から聞くなんて、なんか妬けるなぁー」
「たまたま、発つ前に由美に会って話しただけじゃん? あんたヤキモチ妬くほど私の事好きだったの?」
「好きだよ!愛してるもん! で、かるかん、さつま揚げ、焼酎は?」
「・・やっぱ、そっちかい?」
「勿論!」と言うと皆んなが笑う。
そんな中、宣美が「梨華、体調は?」と梨華の身体を気遣い問う。
梨華は、いま癌と闘いながら、仕事もがんばっている。
だが、梨華が癌に侵されてる事は、梨華の後輩である、佐々木優華は知らない。
「ボチボチかな? まぁ上手くお付き合いしていきますよ?」と明るく言う梨華。
梨華は病に侵され、子供が産めなくなってしまった。そのせいで、婚約までしていた大学時代から付き合っていた誠に婚約破棄されてしまったのだ。当時は私も何と声をかけて良いか分からず、ただ抱き締め一緒に泣いたことを覚えている。
「あっ誠だけど、結婚したんだよ? それもあの悠美と! 悠美から連絡来たときはマジ驚いたよ? 梨華とあんだけ仲よくしといてさ!?」と怒りを露にする五木。
「あぁ、聞いた。」と素っ気なく返事する宣美に由美が突っ込む!
「なんで、宣美怒らないの!? 梨華の親友でしょ!? 梨華、しっかり慰謝料貰いなよ!? 悠美ってこからも取れるんじゃない? 彼に頼んであげようか?」と由美が鼻息荒くする。
由美は親切心で、言っているんだろうが、大きなお世話だと思う。そう思う私は、おかしいだろうか?
「由美! 酒が不味くなる! そんな話やめよう?梨華だって前を向いて歩きだしてるんだから! 私達が振り返らせてどうするの?」
当事者の梨華が前を向いてるのだ部外者が兎や角言うことではない。
「ごめん…」頭を下げる由美に「今日の会計由美ね!?」と言ってやる。
「ううん。由美ありがとう。でも由美が弁護士の先生捕まえるなんてびっくりだよ?」と笑顔で言う梨華にホッとする。
だが、ホッとするのもつかの間、梨華の後輩である優華が体を前のめりにしてきた。
「梨華先輩、婚約までしてた彼氏がいたんですか? どんな人ですか? 婚約破棄されたから、それで仕事に生きる事にしたんですか?」
はぁ…空気読めよバカ!
「お子ちゃま優華はおだまり!!」と空かさず宣美が渇を入れる。
「お子ちゃまじゃないですよ!」
「空気読めない奴はお子ちゃまだ! ほら酒貰ってきな!?」と、私と宣美が優華の前にグラスを置く。
「人使い荒いなもうー」と言いながらグラスを持って行く優華。
一時間もすると、みんなほろ酔い気分になって、いつもと同じ結婚の話へとなっていく。