結婚したくてなにが悪い?!
その時、「結婚したところで幸せが待ってるとは限らないですよ?」と、優華が言う。
「あら? お子ちゃまの優華ちゃん言うわね? 何か悟る事でもあったのかしら?」と冷やかしの目を向ける宣美。
「実は私の友人に、玉の輿にのった智美って子がいるんですけど、旦那が浮気してるとかで、悩んでて…義母との仲もあまり良くなくて、離婚しようか考えてるらしいですけど、あり得ないですよね?」
「何があり得ないの? 旦那の浮気?」
「旦那の浮気は勿論ですけど、離婚もです! だって子供二人居るんですよ? 下の子は、まだ生まれて間もないし… 智美の実家の親も病弱であてに出来ないらしいし、あれだけみんなに祝福されて結婚したのに… 相手はIT企業の社長ですよ? それにシングルマザーって大変じゃないですか? 多少嫌なことあっても、我慢してれば裕福な暮らし出来るんですよ? 普通に考えたら離婚なんてあり得ないですよ! そりゃー浮気した旦那が一番悪いし、腹もたつだろうけど? だからって…」
「普通って、誰から見た普通?」と宣美が優華に聞く。「え…一般的…に?」と、戸惑いながらも、優華は言う。
「私なら別れるかな? 浮気なんて治療薬の無い病気だよ? 絶対治らないから! 私の経験上ね!」と、言う私に優華は驚いている。
「私なら離婚しない。遣られたら遣り返す! 目には目をってやつよ! お金バンバン使ってホストクラブ通いして、良い男がいたら浮気して楽しくやる!」と五木。
高校時代、男かおまけの喧嘩早い女番長と言われた五木らしい考え方だ。
「梨華は?」と言う宣美の問に「浮気はやっぱり悲しいけど…子供が居てくれるだけで…」
言葉を詰まらせる梨華へ宣美は「ごめん」と謝った。
「ううん。私の中の一般論で言えば、相手の幸せかな? 一度は愛した旦那だし、義母だろうと結婚した時点で、実母と同じたと思う。だから、どうしたら相手が幸せか、そして何よりも子供の幸せを考える。それで出した結果が離婚なら仕方ないかな?」と、梨華は言う。
梨華らしい考え方だ。
浮気をした旦那だけを攻めるでなく、旦那の幸せ、そして義母の幸せを考えるなんて、そうそう言えるもんじゃない。