結婚したくてなにが悪い?!
疲れた…
31歳の誕生日に、ゴミまみれになるとは思わなかったわ…
ある意味忘れられない誕生日になったなぁ…
帰る前に少し飲んでいくか!
いつものように着替えを済ませて、ホテルの地下のコンビニで缶ビールを買って屋上へと向う。
ん?
もしかしてあいつがチクった?
屋上へと出るドアに張り紙がされていた。それには【屋上での飲酒は禁止!】とゼネラルマネジャーの名入りで書いてある警告文だった。
チッ!と、舌打ちをする。
ドアを開けると冷たい冷気が頬に刺さる。空を見上げれば凍て空。
「今夜は雪かな…」
厚い雲が夜空を覆い、星は見えない。そんな空を見上げていると虚しくなる。
私はなにをやってるんだろ?
ホテルの仕事は嫌いじゃない。嫌いじゃないけど、この仕事をしているうちは、結婚出来ない気がする。
「チクショー! 結婚してぇー!!」
「そんなに結婚したいかねぇ?」
突然聞こえて来た聞き覚えのある声。振り返れば思った通りの男が居た。
「今日は飲んでませんよ!!」
「ルールだから?」
そっ!ルールだから!
ここで飲酒するなと言われたら、飲むわけに行かないじゃん!
男は真面目なんだな?と、鼻で笑う。
「あんたがチクったんでしょ!?」
「まぁね? 事故があってからじゃ困るからね? 飲むなら下のバーで飲めば? 良かったら奢るよ?」
そして、男はタバコを一本吸ってその場を離れて行った。
「やっぱ寒いな… 帰ろう。」