結婚したくてなにが悪い?!
人生の分岐点

休みがあけると大田さんによる、私のバトラーとしての教育が始まった。

「暫くは俺について貰う」と言われたから、エグゼクティブフロワーで大田さんの仕事を見て勉強するのだと思っていた。だが、違って、朝からフロント脇に立っているだけなのだ。

「あの…ここに立っているのは勿論何か理由が有るんですよね?」
「ああ、勿論、良い女を探す為だ! あんたも良い男探せよ?」

はぁぁぁー??
良い女??
良い男??
何いってるのこの男??

大田さんとは、体の関係を持ってしまったが、いつもと変わらない彼の態度に、ホッとすると同時に、感謝さえする。仕事に差し支えがあったらっと、昨夜は少し心配した。だが、それも自分次第って事のようだ。

「大田さん!! 私、真面目に聞いてるんですけど?」
「俺も真面目に答えてるよ? おっ良い女!」
大田さんは綺麗な女性を見つけて声を掛けに行った。

マジ…?
信じらんない!

大田さんの行動が余りにも耐え難く、フロントに居た生田さんの元へ相談しに行くことにした。

「生田さん?」
「どうした?」
「朝からずっとここに立ってるだけなんですが、良いんですか?」
「ん? どうだろうね? 彼奴には彼奴の考えがあって遣ってると思うよ?」
大田さんなりの考え…?

だが、昼休憩を済ませた後も、なんら変わらず、ただ、立っているだけで、大田さんは朝と変わらず、年齢を問わず女性を見たら、声を掛けに行く。

「ねぇ! 女と見たら見境なく口説くのやめたら…タラシ」
あんたは女なら誰でも良いのか!?
赤ん坊だろうが、婆さんだろうと!?

「俺のアムールがそうさせるんだから仕方ないんだよ? あんたも俺の甘い言葉欲しい?」

いるかボケ!
アムールの使い方間違ってるし!
あんたの頭の中は女の事しか無いのか!?
一度病院行って頭の中は調べてもらえ!!
この色ボケタラシのスカポンタン!

「ホテルの信用問題に関わるって言ってんの! せめて仕事中はやめなさいよね? 上に知れて処分されたくないでしょ!?」

今日は本社から御偉いさんが来るときいてる。

「はいはい。以後気をつけます。おっいい女!」

彼の視線の先には、ロビーに入って来られた若い女性客。彼は行ってくると言ってフロントへ向かっていった。

「ちょっと!」

気をつけると言った先からこれだ…
あんたは、ベルでもフロントスタッフでも無いだろ!?
もぅどうなっても知らないからね!?




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