結婚したくてなにが悪い?!
そう。彼が言う通り、真野君のグループのこは彼だけしか、残らなかった。
女子の部屋に男の子達が入ってアルコールを飲んでいたところを講師達に見つかったのだ。
研修期間中に異性を部屋に入れるなど、考えられない行為なのに、アルコールまで飲んでいれば、何も言い逃れできない。
真野君だけは、その場に居なかったため、処分を免れた。
「でも、真野君は彼等の行為を本当に知らなかったんですかね?」
「何がおっしゃりたいんですか?」
「彼等が違反することを知っていて、止めなかった。とは、考えられませんか?」
「有り得ません!! 真野君は素直で真面目なこです!」
「なぜ、あなたはそんなに彼を信じられるのですか?」
それは…分からない。
でも、あの時一人だけ戻ってきてくれた彼の目は真っ直ぐで輝いていた。
ホテルマンになろうという意思の固さに、私には見えた。
ただそれだけ…
間違ってるかもしれないけど、
私はそう信じたい。
ううん。きっと良いホテルマンになる!
「仲間を信じてこそ、お客様へ良いサービスを提供出来ると思っております。今は、ご挨拶だけのつもりで、伺いましたが、他にご用がないようでしたら、一度この場を離れさせて頂きます。上司との打ち合わせを済ませた後、改めてお伺い致しますので失礼します。」
私は部屋を後にした。