結婚したくてなにが悪い?!
「へぇー紅茶の入れ方って、お水ひとつとってもほんと深いですね? あっ! ポットからカップへ注ぐときは高い位置からですか? 刑事ドラマで…」
「あれは、右京さん独特のこだわりだろ?」
「えっ? 大田さんも刑事ドラマなんて見るんですか?」
「わるいかよ?」
少し恥ずかしそうに言う、大田さんが可愛く見える。
「別に悪くないですけど?…」
でも、お水ひとつとってもこれだけの知識持ってるって事は普段から勉強して知識を得てるって事でしょ。ましてや普段の大田さんの仕事ぶりは怪人その物。いつドラマ見る時間があるのかと思うし、それより、大田さんがあのドラマを見てる姿が想像つかない。
「紅茶の入れ方とマナーとしては右京さんのあれは、完全にNGだな?」
「NG?」
「理由は2つ!
1つは紅茶が周りに飛び散る。
そして、もうひとつは冷めてしまうからだ。」
へー右京さんがやってると格好良く見えるけど、そうだよね? 確かに飛び散るわ!
「分かったらやってみろ」と言われてガラス製のポットを使い何度か紅茶を入れてみた。
「コラッ!まだだ!!」
「もう…そろそろ…良いんじゃ…4分って待ちすぎじゃないですか?」
一般的には、ポットの保温カバーをして4分待つ。時間が短いと葉っぱの渋味だけが出て紅茶の成分が全部でず、渋いくせに物足りない味になるし、色も出ないらしい。
事務所にはガラス製のポットしかなく、保温用のカバーの代わりにバスタオルを使った。
バスタオルの隙間からポットの中が見えた。
ほんとにポットの中で茶葉が踊ってる…
まるで紅茶の妖精が踊ってるみたいで可愛い。