結婚したくてなにが悪い?!
その後もバトラーのレベルアップの為に色々おしえてもらった。が、「約束通りキスを貰う」と言われて、何度と唇を奪われた。感謝のキスだから、軽いものとばかり思っていたが、それはそれは舌を絡め、とても濃厚で頭の芯まで痺れてしまうキスだった。
「次、寝具についてだが、ホテルの寝具は、お客様が御自宅で使われてる物とは違う。
マットの固さや、枕の固さの好みは人其々だ、朝、お客様の様子、ベットの様子を見て、良く眠れたか判断するのもバトラーの仕事だ。そして少しでも良い睡眠を御提供するのがパドラーだ。
睡眠は、仕事、健康、美容においても必要不可欠なもの。お客様が気持ち良くぐっすり眠れるようにする事だな?」
「はい!」
「と言うことで、少し休ませろ?」
と言うことって、どう言う事?
私に考えさせぬ、かの様に大田さんは私をソファーに押し倒し、唇を奪うと同時にブラウスのボタンを外した。
「ちょっ、ちょっとなにするんですか!?」
「疲れたから休憩って言ったろ?」
「休憩はお一人でどうぞ!」
「一気に積め込んでも、頭に残らないぞ?」
唇から首へそして胸へと降りていく彼の唇を私は両手で塞いだ。
すると大田さんはニヤッと笑い私の両手を右手で掴み上げ、再び唇を重ねた。
刺激的な彼のキスに頭の中まで痺れ、寝不足が続いていたせいもあり、直ぐに意識が朦朧となる。
意識が遠のく中で「おやすみ…」と優しい声が聞こえた。
「おい!起きろ!」
「えっ!?ここは??」
えっ! あっ事務所?
昨夜あのまま寝てしまったの?
「ゆっくりしてて良いのか? 4時30分だぞ?」
「あっヤバイ! 今日の管理表と予定表の確認?」
「予定はお前の手帳に書いといた。管理表は俺が書いておくから、早く行け!」
えっ?
「走るのも良いが頑張りすぎて転ぶなよ?」
え?
私がなにやってるか知ってるの?
もしかして、昨夜、私の体を気遣ってあんな事したの?
今回の桜花崎様との賭けの事は、太田さんには何も話していない。
勿論、私が負ければ、ホテルが無くなるかもしれない大事である。
もし、ホテルが残ったとしても、私の行為は許されるものではない。多分会社(ホテル)に居られなくなる。
そこに太田さんを巻き込みたくなかった。