結婚したくてなにが悪い?!
恋と言う名の下心 ③
翌日、朝のミーティングに、なぜか桜花崎様がいらっしゃった。
なんで、桜花崎様が居るの?
昨日で話は済んだんじゃないの?
桜花崎様と目が合うと、彼はにっこり微笑んだ。
…なに?
今度はなに企んでるの?
驚きと困惑を隠せない私を他所に、太田さんは更に驚く発表をした。
「本日より、み…桜花崎様は深田の下で働いて貰う事になった。」
はぁ!? 今、何と仰いました?
私の聞き違いでなければ、私の下で働いて貰うと仰いませんでしたか?
だが、聞き間違いでは無かったようで、
桜花崎様は私へ「宜しく」と言って微笑んだ。
「ちょ、ちょっと待って下さい! どう言うことですか!?」
「深田の担当は5026号室木ノ下様だ。各自資料を確認して仕事に就いてくれ?」
太田さんは私の問いかけに答えず、連絡事項だけを伝え「以上!」と言ってミーティングを終わらせた。
大田さんが答えてくれないのであれば、桜花崎様に聞くしかない。
「桜花崎様!どう言うことか、教えてください!?」
「昨日、君に言った通り、ホテルマンの事もっと知りたくてね?」
知りたくてね?って…
「だからと言って、サクラグループの総帥の息子である貴方が、現場に出て、ホテルマンとして働かなくても、ホテルの事を知る方法は他にも有るとも思いますけど?」
「そうかもしれないけど、君を手に入れる為には君の側にいた方が良いと思ってね?」
はぁぁぁぁぁ!?
「私を手に入れるとか、訳のわかんないこと言わないでください! 私は貴方とお付き合いする気は有りません!」
「僕は本気だよ?」
なにが本気だ⁉ ただの、お坊っちゃまの気紛れに付き合わされる此方の身にもなれってんだ!
「桜花崎様、私の下で働くと言うことは、私の部下と言うことで宜しいでしょうか?」
「うん! 君の部下で良いよ?」
「では、本日は、このまま貴方の居るべきもとへお帰り下さい! これは上司命令です!」
「それは出来ない。暫くここで、ホテルマンとして働く事は父にも許可貰ってるから、僕は働くよ?」
「それは許されません!」
「なぜ?」
「なぜだか分からない時点で、ホテルマン失格だからです! ホテルマン失格の者をお客様の前に出すことは、許されません!」
「そんなぁ・・・」
「では、私は自分の仕事に戻りますので、失礼します。」