結婚したくてなにが悪い?!
「失礼しました。わたくし、桜花崎家の運転手をしております。中村と申します。奥さまより、深田様をホテルまでお送りするように申しつかりました。宜しければお乗りいただけますか?」
「え? 奥様から?」
「ご不審でしたら、電話が繋がっておりますので、お話を?」
運転手より携帯を受け取り、確認させてもらった。
「もし…もし?」
『先ほどは主人が失礼な事を申しまして…大変失礼しました。お詫びは改めてさせていただきますので、本日のところは、このお電話で失礼いたします』
「あっいえ…こちらこそ…」
『駅までは遠ございますし、お仕事も御有りかと思いますので、車をお使い下さい』
「すいません…では、お言葉に甘えさせていただきます」
電話を運転手さんへ返すと、改めて運転手さんへお願いした。
「すいません…宜しくお願いします」
「畏まりました」
あれ? なにか大事なこと忘れてるような気がする…
ホテルへ戻ると、大田さんの元へ向かった。
一応報告しといた方が良いと思ったからだ。
「すいません…多分…余計な事まで言ったと思います。きっと総帥、怒らせたと思いますので…」
処罰を待つより自ら辞めた方が、大田さんや生田さんに迷惑掛けないと思う。
せっかく、小野さんや生田さんがスイスHへのインターシップへの推薦してくれたのに…
本当は辞めたくないけど…
自ら招いたことだ、責任取るのが当然の事だ。
「明日にでも辞表書いて持ってきますので…」
「馬鹿か? 役職にもついてないお前が書くなら、退職届!もしくは辞職願だ!そんなことも知らないのかよ?」
「えっ? あっすいません。 退職届でした。 明日持ってきます…」
「辞めてどうする? 生田と結婚するか? それとも…」
辞めてどうする?‥
分からない。
ただ言える事は‥
「誰とも結婚しません。今は‥‥」
「じゃ、受け取れんな!」
「え?」
「まぁ今日は、色々疲れただろうから、もう帰って良い。だが、明日はシフト通り、昼には出勤しろよ?」
え?
「でも…このままだと、大田さんにも迷惑がかかるかもしれません…」
「部下の失態は上司である俺にも責任がある。それに今回の事は、あの人にも責任がある。なんとかなるだろ?」
「あの人?」
「良いから早く帰れ!」
大田さんに言われるがまま、早退させて貰った。
部屋へ帰るとなにもせず、そのままベットへ倒れ込んだ。
マジ疲れた…
でも、なにか胸に引っかかってるものがある様な‥
なんだろう…
あっ桜花崎様!
あのまま置いて帰って来ちゃった‥‥
まぁ良いか?
自分が招いた事だし、しっかりお仕置きしてもらえば良いわ!