結婚したくてなにが悪い?!
「どんな男になら心開いてくれますか?」
どんな男?…
「そんなこと貴方に関係ないと思いますが?」
「教えてください…お願いします!」
「教えません!」
「お願いします。」
桜花崎様からの呼び出しをうけ、部屋を訪れた時、彼に質問された。そんな事質問されても、バトラーの私に答える義務ないし、教えるつもりもない。
だが、余りの熱意に根負けしてしまった。
「そうですね・・ホテルマンで例えるなら・・いつでもお客様を逸品のサービスでお迎え、おもてなし出来る人。…男としては意地悪で酷い男だけど・・キスが上手で…」
「キスが上手い? 僕も上手いですよ?」
いきなり顎をつかまれ、拒む前に唇をうばわれてしまった。
「ん…」
何してるの⁉︎
でも…本当に上手い…
熱を帯びた彼の舌が口内を探り、熱が伝わる。そして全身へと熱を帯びる。
あぁ…
気持ち良い…
頭の芯まで痺れ何も考えられない。
あの人みたいなキス…
っ!?
私は我に還り、桜花崎様を突き飛ばした。
「止めて!」
「どうでした?」
「どうも…こうもありません!なに考えてるんですか? セクハラですよ⁉︎」
「訴えますか?」
「・・・・」
訴える…?
そんなこと私に出来るわけない。
もし、訴えたらマスコミが騒ぎ立て、ホテル、いや、会社全体の信用問題に成りかねない。そうなれば、この人はホテルを切り捨てるだろう。そして、私の愛するこのホテルはなくなる。
でも…私…
彼のキスを一瞬受け入れてた…
強引だけど優しキス…
思わずあの人のキスと錯覚して…
「二度と、こんな事しないで下さい!」
「なぜ?」
なぜ?…
何を言ってるの?
この人ホント馬鹿なの??
私は彼の愚かさに言葉を失っていた。